りんどう法律事務所のブログ

2013.12.18

不妊治療に法律はどう向き合うのでしょうか?

先日、性同一性障害で女性から性別を変更した男性に、第三者からの精子提供で生まれた子との親子関係を認める決定が最高裁で出されました。

この最高裁決定は、5人の裁判官で審理され、3人が親子関係を認める判断を、2人が反対意見(親子関係を認めない判断)を出すという、ある意味「ギリギリ」の決定でした。

この5人の裁判官と同様、皆様の中でも色々な意見がきっとあることと思います。

この事件は、民法が制定当初に想定していた状態と、医学の進歩により現在起こる事実関係との乖離をどう埋めるのか、このことが争点となった事件とも言えるのではないでしょうか。

女性側の不妊治療でも、このような問題は起こっています。

例えば、卵子提供を受けて妊娠、出産した場合

この場合は、そもそも、女性が母子手帳をもらうとき、そして出産後出生届を出す時に、役所の戸籍係が、第三者から卵子提供を受けた事実を把握できません。
つまり、そのまま出生届は受理されるのでしょう。

また、母と子との親子関係は、分娩の事実によって当然に発生するとされています(最判昭和37年4月27日)。とするならば、仮に争いになっても、分娩の事実がある以上、親子関係は認められるのかもしれません。

一方で、代理母出産をした場合

この場合は、既述の最判昭和37年4月27日をもとに考えれば、子との間に遺伝子的なつながりはあっても、その女性と子との間には分娩という事実はなく、戸籍上当然に親子となることはありません。

最高裁平成19年3月23日決定は、「その子を懐胎、出産していない女性との間には、その女性が卵子を提供した場合であっても、母子の関係成立を認めることができない」と判断しました。

      ************


このような結論に、なんとなくではあるものの違和感を抱く人は多いかもしれません。

ただ、違和感の理由は、人によって異なるものではないでしょうか。

例えば、遺伝子的なつながりがあるのに親子ではないということに、違和感を抱く方もおられるのかもしれません。

または、同じように不妊治療を受け親になることを願ったにもかかわらず、結論が異なるということに違和感を覚える方もおられるのかもしれません。

もしくは、医学の進歩に戸惑い、遺伝子的なつながりがないものの親子となることに違和感を抱く方もおられるのかもしれません。

さらには、この違和感がいつか、時の経過とともに感じなくなるのかもしれません。

最近の不妊治療を巡る医学界での進歩はめまぐるしいものです。

が、その医学の世界でも、技術的な可能性と国民の感情、倫理観との狭間で多くの困難な問題を抱えているようです。

今回、最高裁決定という形で、一つの問題に、ひとまずの結論が出たとも言えますが、今後も、法律が、国民と向き合いながら困難な問題に結論を出さなければならないことが増えてくるのかもしれません。

りんどう法律事務所(大阪・女性弁護士の法律事務所)

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